コラム
システム監視とは?監視の目的やメリット・注意点を解説!
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今は多くの企業がICTシステムを利用している時代。もし、システム障害が起きてしまうとビジネスに及ぼす影響も重大なものとなります。システムが正常か否かのチェックや、障害発生時の迅速な対応には、システムの監視が必要です。
本記事ではシステム監視の種類や目的、メリット・デメリットや注意点をまとめました。自社でシステムの運用監視が難しいときの対処方法も紹介します。自社システムの安定性を高めたい方や効率化を図りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。 -
システム監視とは?
システム内のサーバ・アプリケーション・ネットワークなどの動作が正常かどうかを確認するのがシステム監視です。
多くの企業でICTシステムがビジネスの推進・管理・業務改善・効率化などと結びついている今、システムの稼働がストップしてしまうと、利益損失や信頼度低下につながる恐れがあります。
どのようなシステムでも、パーツの故障やコンピュータウイルス、ヒューマンエラーなどで障害は発生します。
大切なのは予兆の把握によって障害を未然に防ぐことです。障害が起きた場合でも、迅速に対応して被害を最小限に食い止め、素早く復旧させたいもの。そのために必要なのがシステム監視です。 -
システム監視の種類
システム監視の種類は2つ、「インフラ監視」と「サービス監視」です。2つの目的や対象となる項目は異なります。それぞれの詳細を見ていきましょう。
1.インフラ監視
インフラとは、ITにまつわるものの基盤(インフラストラクチャー)となるリソースのことを指します。
ITインフラは、主に以下のものです。
● パソコン
● サーバ機器
● ルーター
● ネットワーク機器
● OS
● ミドルウェア
● 通信回線
パソコンやルーターなどのハードウェアだけではなく、機器に搭載するOSやミドルウェア、ネットワークを築く通信回線も含めてITインフラです。これらのIT基盤の管理を「インフラ監視」と呼びます。
ITインフラの不具合は大規模障害につながる場合もあります。しかし監視によって障害を未然に防げるだけでなく、障害が発生した際の速やかなトラブル対応も可能です。
システム監視では具体的にシステムをどうチェックするのか、以下で主な監視の種類を紹介しましょう。Ping監視(死活監視)
Pingはネットワークの疎通確認に使用するコマンドです。コマンドを利用して、指定した相手先(IPアドレスやホスト名)に文字列を送り、応答の有無でネットワーク接続が確認できます。
Pingテストで分かるのは、回線や相手先が「ダウンしているか、生きているか」です。そのため「死活監視」とも呼ばれます。応答速度も表示されるため、ネットワーク速度の確認も可能です。リソース監視
リソース監視とはサーバのCPUやメモリ、ストレージなどの動作状態を確認することで、性能監視とも呼ばれます。
具体的にはハードウェアの動作の状態や、負荷の状況などをチェックします。
アクセス集中による負荷の高い状態やパフォーマンス低下などの兆候を見逃すと、大規模障害にもつながりかねないため、リソース監視は重要です。
リソース監視では兆候を未然に察知して問題発生を防げる他、万が一障害が発生した場合にも、原因特定が容易になり迅速に対応できます。SNMP監視
プロトコルの1つであるSNMPを使って、サーバの状態やネットワーク機器の動作などをチェックするのがSNMP監視です。
SNMPは標準規格で、サーバやルーターなどのベンダーを問わずに利用できます。
ネットワーク機器を効率的に管理するには、SNMPを利用したツールで自動的に稼働状況データを収集すると便利です。ログ監視
ログとはシステムを構成するハードウェアやソフトウェアの動作・操作履歴のことです。ログを解析して、システムが正常かどうかを確かめるのがログ監視です。
ログには「いつ・どこで・誰が(何が)・何を」したか、詳細に記録されるため、トラブルが起きた際にログを解析すると、原因の特定や復旧作業に役立ちます。
ログに含まれるキーワードや文字列を指定でき、それらを検知するとアラートが送られてくるため、不正アクセスや情報漏洩の原因となる動きの検知も可能です。また、不正アクセスを受けた場合の被害も抑えられます。パブリッククラウド監視
パブリッククラウドとは、複数の企業や個人など、不特定多数が共同で利用できるクラウドサービスのことです。AWS・Google Cloud・Microsoft Azureなどがパブリッククラウドに該当します。
パブリッククラウド監視とは、クラウドで稼働するシステムの分析や管理を行うことです。クラウド監視をすると、システムの稼働状態が低下したり、トラブルが起きたりした場合も素早く検知して対処できます。2.サービス監視
サーバ上で提供しているさまざまなプログラムの状態を確認し、異常がないか確認・検知・通知するのがサービス監視です。主にストレスなくユーザーが利用できるかどうかを判断するために行われます。
サービス監視でチェックするのは以下のようなサービスです。
● DNS
● HTTP
● サーバソフトウェア
● ロードバランサ
● 各種アプリケーション
サービス監視は「外形監視」と「プロセス監視」の2種類に分けられます。どちらも大切な活動のため、以下で詳細を説明します。外形監視
外形監視とはWebサイトやアプリケーションをネットワークの外からアクセスして管理することです。ユーザー視点でサービスが正常かどうかを確認する方法といえるでしょう。
Webサイトを迅速に表示して、サービスをどれだけ快適に使用してもらえるかが、ユーザーに継続的に利用してもらうための重要な要素です。
外形監視ではレスポンスのスピードや正常な表示など、ユーザーがどう体感しているか計測できます。ユーザビリティの観点からシステム運用をするために欠かせない活動です。プロセス監視
プロセス監視におけるプロセスとは、管理対象のサーバ上におけるデータベースやアプリケーションの動作のことで、プロセスの稼働状況によってアプリケーションが正常かどうかを判断します。
24時間365日の稼働が常識となった今、システムやネットワークがダウンしている時間は、ビジネス上の大きなロスです。システムに障害が起きたときに、問題のあるプロセスを素早く特定するには、プロセス監視によって常にシステム状況を把握しておくことが重要になります。 -
システム監視の目的
システム監視の目的は危機管理です。危機管理は「システム障害の予防」と「システム障害発生時の影響軽減」によって行います。それぞれを詳しく見ていきましょう。
システム障害の予防
障害はいつ発生するか予測できません。パーツの故障、アクセスの集中による処理能力の超過、サイバー攻撃、ヒューマンエラー、バグの見落としに起因するソフトウェアの不具合などはいつでも起こり得ます。
障害が起きることを前提としてシステムを監視していると、トラブルの兆しを発見しやすくなります。また、兆候が出た時点で対処しておくと、重大な障害への発展も未然に防げるでしょう。
障害が起きてビジネスに多大な損失が起きるのを回避するには、日頃からシステムを監視しておくのが大切です。システム障害発生時の影響軽減
システム監視のもう一つの目的は、発生した障害がビジネスに与える影響を少しでも抑えることです。なるべく早く復旧させて、影響の拡大を抑えなければなりません。
そのために重要なのが原因を突き止めることです。原因が分かると復旧までの時間を短縮できます。原因が分かると対処の方法も自ずと判明するため、復旧も進めやすくなるでしょう。 -
システム監視を行うメリット
ハードウェア管理はさまざまな面から大切な業務ですが、従業員数が多いほどハードウェアの数も増えるため、管理は大変になっていきます。
漏れなく全てのハードウェアを管理するために、押さえておくべき4つのポイントを紹介します。被害を抑えられる
システム監視を行うと、被害を抑えられるだけではありません。以下のようなメリットもあります。
マニュアルやルールを作成し徹底する
システム障害が発生すると、顧客満足度の低下や企業への不信感の増大、機会損失など大規模な損害が生じます。
2021年6月には通信大手キャリアでシステム障害が起き、約10時間にわたりバーコード決済などができなくなる事態が起きました。影響は約3500万人に及んだため、大手通信キャリアにとって大きな損失となりました。
システム障害が生じた場合の損害は大きなものとなります。被害を抑えるためにもシステム監視は必要です。システム管理者の負担が減る
システム監視を行っていない状況で問題が起きた場合、管理者にも大きな負担がかかります。特に負担がかかるのは原因の特定です。
原因が不明であれば復旧にも時間がかかってしまいます。システム監視で原因が素早く特定できると、その分管理者の負担は軽減するはずです。
管理者の負担や工数を削減するには、常にシステムを管理下におき、トラブルを未然に防ぎながら、トラブル発生の可能性がある部分に事前の対策を行っておくのが大切です。
トラブルを未然に防げると、管理者の工数が削減でき、削減できた分を新たなシステム開発などの重要な仕事へ回せるでしょう。顧客満足度が向上する
システム監視によるチェックで障害が発生しにくくなると、ユーザビリティが向上して、顧客の信頼度が向上しやすくなります。
例えば、一般消費者向けにECサービスを展開していて、ユーザーがアクセスしたとき「404エラー」が出ていたら、アクセスしたユーザーが二度と訪れないかもしれません。
システム監視によってシステムが安定すると、顧客満足度が上がり、売上にも貢献するでしょう。 -
システム監視を行う際の注意点
システム監視はICTシステムの運用に欠かせない施策です。しかしシステム監視には注意したいポイントもあります。ここではシステムを監視する際の注意点を紹介します。
システム監視を行う人員やコストがかかる
システム監視を自社で実行するには、相応のITスキルをもった一定数の人員が必要です。また異常を察知したり、実際のトラブル対応ができる人材を24時間365日配置しなければなりません。
予算の確保も大切です。人件費だけでなく、ツールの導入費なども含め、適切なコストを確保してシステムの運用監視をしましょう。マニュアルの整備が欠かせない
システム監視を行うには、ツールの操作方法や障害発生時の対応などをマニュアル化する必要があります。平常時と障害発生時、2つのケースを想定してマニュアルを策定しておきましょう。
マニュアルにはエラーメッセージやログの確認方法、原因分析や復旧、報告の手順など、作業手順のフローチャートを記載します。また過去の対応履歴もまとめておくことも大切です。 -
効率を上げたいならシステム監視ツールを導入するのも方法の一つ
システム監視には人員やコストがかかります。クオリティを担保しながら工数を削減したいのであれば、監視ツールの導入も有効です。
監視ツールを使用すると、システムの状況を把握して自動的にトラブルの予兆を検知できるだけでなく、障害の発生をツールからのアラートによって知ることもできます。
導入によって自動化できるのは、以下のプロセスです。
● システムの稼働状況のデータ収集
● システム障害の予兆の検知
● システム障害の検出
● システム障害発生の通知
監視ツールを導入すると、効率よくシステムを安全な状態に保てます。システム監視に必要だった人員を削減でき、その分システム開発などのコア業務に回すこともできるでしょう。
なお、監視ツールにはさまざまなタイプがあります。自社のシステム監視に即座に対応できる柔軟性の高いカスタマイズが可能なツールを選びましょう。 -
まとめ
ICTシステムを運用するには、正常に稼働しているかどうかをチェックして、障害発生の際にいち早く発見するシステム監視が必要です。システム監視の流れやメリット・デメリットを理解して効率よくシステムを管理しましょう。
またシステム監視によって基幹システムや管理システム、ITインフラを安定稼働させるだけでなく、戦略的にITシステムを活用するためには、ITサービスマネジメント(以下ITSM)が重要な役割を担っています。
ITSMはさまざまなサービスをユーザーのニーズに合わせて運用・管理・改善し、ビジネスにおいてITの発展に貢献していく活動や仕組みです。ITSMを的確に行うには、専用のマネジメントツールの利用が不可欠とされています。もちろんどのようなマネジメントツールでもいいわけではありません。
システム監視を含めて、ITサービスの運用と改善を無理なく行えるツールが必要です。その実現に役立つのが、ITサービス管理ツール「SmartStageサービスデスク」です。
「SmartStageサービスデスク」なら、ITサービスの品質低下を引き起こす根本原因を効率的に特定して解決に導く「問題管理」が可能。それだけでなく、全てのITインフラのイベントを監視して異常を検知する「イベント管理」など、さまざまな管理機能を備えたITサービス管理ツールです。
フレキシブルなプロセス管理とデータ管理が自在に設定可能なため、自社にマッチした運用が可能になり、ITサービスの運用を飛躍的に進化させられます。「SmartStageサービスデスク」でITシステムを守るだけでなく、IT運用をよりクリエイティブな活動に変えて攻めの運用を目指しましょう。