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サイロ化とは?原因や問題点、解決方法をわかりやすく紹介

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  • サイロ化とは企業が業務で使用するシステムにおいて、部署などをまたいでシステムの連携や情報の共有などを行えていない状態のことです。サイロ化を放置した場合、データの連携を行うことができずDXが進まない、データ活用が限定的になるといったデメリットが生じます。

    本記事ではサイロ化の概要を確認した上で、サイロ化について原因や問題点、解消するメリット、解消する方法などについて解説していきます。

  • サイロ化とは?

    サイロ化とは組織や情報システムが独立して業務を完結している状態のことです。

    サイロ化について以下の2つの観点から解説していきます。

    ・ 組織のサイロ化
    ・ 情報システムのサイロ化

    それぞれについて詳しく解説していきます。

    組織のサイロ化

    組織のサイロ化とは各部署が独立して業務を行っており、部署を超えての情報共有などを行えていない状態のことです。部署内で業務を完結することには、部署内の結束力が高まったり、効率的に業務を遂行できたりといったメリットがあるものの、部署間でのシナジー効果や社内全体の発展性は損なわれるでしょう。

    また従業員が他部署に無関心であることは企業全体の結束力や自社への所属意識の低下にもつながります。

    情報システムのサイロ化

    情報システムのサイロ化とは各部署におけるデータ形式やアプリケーションの仕様の違いなどにより情報システムの連携を行えない状態です。各部署と連携を行うことを考慮に入れず、それぞれの部署がシステムを導入したことによって生じます。

    このような状態で情報システムの連携を実施しようとしても、データの加工が常に必要となり、連携元や連携先システム両方の仕様変更に合わせて改修を行わなければなりません。その結果、連携ミスの発生や必要なデータの収集に膨大な時間が発生するといったデメリットが生じる可能性があるでしょう。

  • サイロ化の原因

    サイロ化の原因として以下の4つの原因が挙げられます。

    ・ 情報伝達経路が統制されていない
    ・ システムが混在している
    ・ セキュリティリスクに慎重になり過ぎている
    ・ サイロ化の状況に気が付いていない

    それぞれについて詳しく解説していきます。

    情報伝達経路が統制されていない

    情報伝達経路が統制されていない原因は報連相が徹底されていない、社員間で報告や相談をしながら業務を遂行する風土が醸成されていないなどさまざまです。

    情報伝達経路が統制されていないことで起こるサイロ化は、内部不正につながることもあるので注意が必要です。組織内での競争が激しくなり、従業員同士で協力して働こうという意識がなくなると、恣意的な情報の隠蔽なども行われやすくなるでしょう。

    システムが混在している

    近年、多くの企業がクラウドサービスを活用しています。クラウドサービスは安価、かつ手軽に利用できるというメリットがある一方、社内システムを混在させる原因にもなり得ます。

    クラウドサービスを各部署に委譲した決裁権限で導入していると、社内にさまざまなツールやサービスなどが混在する状態になってしまいます。他部署と情報の共有を行ったり、協力して業務を行ったりする際、利用しているシステムが異なるために不便を感じることもあるでしょう。

    セキュリティリスクに慎重になり過ぎている

    近年、セキュリティを強化するために資料やデータなどの開示範囲に制限をかける企業が増えています。データの開示範囲に制限をかけると、社内で共有するべき情報にも制限がかかるといった問題が生じるケースも多いです。共有すべき情報が従業員に届いていない場合、サイロ化の原因になるので注意してください。

    セキュリティに関係するコミュニケーションエラーは検知が困難であり、社内全体で対策を検討する必要があります。

    サイロ化の状況に気が付いていない

    サイロ化の問題は気付かないうちに深刻化しているといったケースも多いです。特に、規模が大きい組織はサイロ化が拡大する傾向が強い傾向にあります。小規模な組織であれば一元管理を行いやすいです。しかし、組織の規模が一定以上になると人事や営業などそれぞれの役割に応じて部署の分割を行うため、情報の遮断が自然発生することも少なくありません。

    コミュニケーションの強化や情報連携を行ってもサイロ化に気付けないことも多いので、社内全体での対策が不可欠です。

  • サイロ化の問題点6個

    サイロ化の問題点として以下の6つが挙げられます。

    1.データ活用ができない
    2.意思決定が遅くなる
    3.部門間の対立が発生する
    4.作業効率が低下する
    5.サービス品質が低下する
    6.コストが増加する

    それぞれについて詳しく解説していきます。

    1.データ活用ができない

    ほとんどのケースにおいてサイロ化されたデータベースではデータの整理を行えていません。そのため従業員は必要なデータを得るまでに長時間探し続けなければならないことも多いです。情報がサイロ化していると、使用するデータを発見するまでに時間がかかったり、必要なデータの確認に手間取ったりするため作業コストは下がります。

    このような状態ではデータをうまく活用できません。データを活用できなければ収集した意味がない他、データを踏まえたビジネスの展開が困難になります。

    またデータを活用するには作業時間がかかるため従業員にとっても大きな負担になるでしょう。

    2.意思決定が遅くなる

    部門のサイロ化が起きていると、経営上の意思決定が遅れます。各部門における意見が食い違うようなケースも多いです。それぞれの意見を聞き、集約するだけでも相当な時間がかかります。そうなると、ビジネスのチャンスを逃してしまうこともあるかもしれません。

    意見を統一するためには細やかなコミュニケーションが必要です。意見の統一にかけるコストの削減などを理由に意思決定を強引に進めた場合、特定の部門から納得できないといった意見が出ることも考えられます。その他にも自社が考えていたことを変えて各部署に配慮が必要になるなど、思い描いていた方向性から離れてしまうこともあるでしょう。

    3.部門間の対立が発生する

    サイロ化が進行すると、部門間での対立が増えるケースも少なくありません。同じ組織の一員であるのに足の引っ張り合いを行ったり、仕事を押し付けあったりするようになることも生じると考えられます。

    例えば「総務部は営業現場に理解がなくルールばかり作成している」「こちらの部署ではあの部署のミスをフォローしてばかりだ」などのマイナスの感情が生じ、従業員のモチベーションや満足度の低下につながるケースもあります。

    4.作業効率が低下する

    サイロ化すると部門ごとの情報共有が困難になるため、全体的に作業効率が低下する傾向があるとされています。

    例えば他部署にはその業務に必要な知識を保有している人がいるものの、自部門だけで業務を進めていこうとすると作業効率が低下するでしょう。また時間がかかった割に、業務の完成度が低いということも珍しくありません。

    その他にも部門間でのコミュニケーション不足が原因で、理解の食い違いなどによって無駄な業務が発生することもあります。

    その結果、休日出勤を余儀なくされたり、連日残業が続いたりするような事態を招き、従業員の不満が高まることにもつながりかねません。

    5.サービス品質が低下する

    従業員間でのコミュニケーションの機会が少なかったり、従業員間の関係性が良好でなかったりすると、サービスの品質低下につながります。社内での足の引っ張り合いや部門間の対立は従業員にとって不満の原因となるだけでなく、クライアントや取引先にとっても不満の原因となることもあります。社内でのミスコミュニケーションにより部門間での連絡が滞っていたためにミスが生じたり、提供するサービスの品質が低下したりすることも少なくありません。

    その他にも経営層の意思決定が遅れた場合、時代のニーズやトレンドに合わせた柔軟な対応ができなくなり、ビジネスの機会を逃すこともあるでしょう。

    6.コストが増加する

    サイロ化が進行するとコストが増加し、収益の悪化や経費圧迫などにもつながります。例えば、部門間の意思確認や情報の共有を行うため、全体会議を開催する機会が増えることでコストが生じます。

    また複数の支店や店舗の従業員が参加しなければならない会議であれば、交通費や宿泊費などの出費も増えるでしょう。

  • サイロ化を解消するメリット5個

    サイロ化を解消するメリットとして以下の5つが挙げられます。

    1.業務効率化・生産性向上につながる
    2.データの価値が高まる
    3.DXを推進できる
    4.顧客満足度の向上につながる
    5.企業競争力を強化できる

    それぞれについて詳しく解説していきます。

    1.業務効率化・生産性向上につながる

    サイロ化を改善することで業務効率化・生産性向上につながるはずです。サイロ化の改善では自社の業務の洗い出しを行い、サイロ化が生じている部分を把握しますが、このプロセスでは普段見落としていた手順の無駄が明らかになることもあります。業務フローの最適化を行えば業務効率や生産性をアップできるはずです。

    その他にも社内のデータのサイロ化を解消することで、従業員は必要なデータにすぐにアクセスできるようになる他、データの二重入力などの煩雑な作業から解放されるでしょう。従業員は自分の業務に集中できるようになるため高い生産性を期待できます。

    2.データの価値が高まる

    サイロ化を改善することで社内データの一元管理が実現するため、データ活用を統合的に行えます。システムや各部署に散在しているデータを統合的に管理していれば、ビッグデータを解析し、市場調査や顧客満足度の向上に役立てることもできるでしょう。

    例えば、社内の売上データをしっかりと把握できている企業であれば、過去の売上からシーズン商品の仕入れ数や人気の高い商品を予測できるため、在庫を必要以上に抱える必要がなくなります。そうすれば在庫管理が容易になる他、在庫管理のスペースの縮小化や各種コストの削減にもつながります。

    3.DXを推進できる

    サイロ化の解消は社内のDX化にも効果的です。既存のサイロ化したシステムの刷新を行い、全社統一のシステムを実現できれば、最新のデジタルテクノロジーとの親和性がアップするため導入や活用を行いやすくなります。

    またデータは全社で一元管理できるためデータの活用も円滑に行えるようになり、自社のDX化が大きく前進するでしょう。

    4.顧客満足度の向上につながる

    社内で情報共有をしっかりと行っていれば、コミュニケーション不足や認識の違いによるミスを回避できます。また顧客情報も共有できるため、各部署がそれらのデータを踏まえながら、適切なサポートやおすすめできるサービスを検討することも可能です。

    また社内で情報の連携を円滑に行っていれば、市場や顧客が求める商品やサービスの開発も行いやすくなります。サービスを生み出すまでの業務プロセスが構築され、新規事業もスムーズに進められるでしょう。また収集したデータをうまく活用することで、よりニーズの高い商品やサービスを完成させることができるはずです。

    5.企業競争力を強化できる

    近年、市場にはさまざまな商品やサービスが流通しており、消費者は数ある選択肢の中から自分の好きなものを選べるようになった一方、企業間の競争は激化しています。そうした中で自社が存続するためには、消費者から選ばれる商品やサービスを提供し続けなければなりません。前述のように、サイロ化を強化することで商品やサービスの品質を高められるため、企業競争力を強化できます。

    またサイロ化の解消により社内全体のコミュニケーションが活性化し、情報共有を容易に行えるようになれば、これまでになかった新たなビジネスモデルも創出できるでしょう。多くの情報を参照したり、社員間で対話し合ったりすることで生み出されるアイデアは少なくないはずです。

  • サイロ化を解消するための方法

    サイロ化を解消するための方法として以下の4つが挙げられます。

    1.企業文化としてのサイロ化を改革する
    2.部門間のコミュニケーションを円滑にする
    3.データ管理の方法を見直す
    4.データ統合のシステムを導入する

    それぞれについて詳しく解説していきます。

    1.企業文化としてのサイロ化を改革する

    多くの企業にとって企業文化がサイロ化の大きな原因となっていることは多いでしょう。日本企業の多くが縦割り構造の組織体系になっているため、それにより各部門の連携に遅れが生じ、組織内の分断が意図せずして引き起こされていることも珍しくありません。

    企業文化を短期間で変えることは難しいため、長い時間を費やして少しずつ変えていく必要があります。経営層やマネージャーなどの上層部が話し合い、相互理解を深めたり、目標を共有し合ったりすることが重要です。

    2.部門間のコミュニケーションを円滑にする

    部門間のコミュニケーションを円滑にすることで情報共有を行いやすくなったり、ミスコミュニケーションの問題が解消したりすると考えられています。

    部門間のコミュニケーションを円滑にするためには従業員にコミュニケーションの重要性を伝えるだけでなく、お互いに話し合える機会を設けることが重要です。例えばランチ会や勉強会など従業員間のコミュニケーションの場を設けるのは効果的でしょう。また社内SNSの導入や、オンラインミーティングの開催であればリモートワークを導入している企業でも社員同士の交流が生まれやすくなります。

    3.データ管理の方法を見直す

    サイロ化を解消するためには社内におけるデータ管理の方法を見直さなければなりません。社内のデータ管理のルールの見直しを行い、部署ごとに異なるデータ運用を行うことから解放できるように整えましょう。全部署で共通する運用方法を実現するためには種類や保存場所、保存形式、担当者などを明確にしておく必要があります。

    まずは組織内にあるデータを洗い出し、データ管理で得られる効果についても明確にしてみてください。

    4.データ統合のシステムを導入する

    データのサイロ化への技術面での有効なアプローチとして、データの統合を目的としたソフトウェアの導入が挙げられます。構築済みのシステムをそのまま活用しながら、データの統合を行うことが可能です。ただしデータの種類などによっては短期間で実施することが難しいため、既存のシステムの見直しや廃止を中長期的に検討していかなければなりません。

    全社共通で不便なく使用でき、部署を超えて必要なデータに手軽にアクセスできるようなシステムを導入すればサイロ化を防げるはずです。またシステムを導入する際はメールやBIツールといった外部ツールと連携できるシステムがおすすめです。

  • まとめ

    本記事で解説したようにサイロ化を放置していると、データ統合を円滑に行えなかったり、情報共有をスムーズに行えなかったりといったデメリットが生じます。またこれらが原因となり、顧客満足度の低下も懸念されるでしょう。

    業務を円滑に進め、利益を拡大させていくためにはサイロ化を解消させることが不可欠です。サイロ化を解消するためには従業員間のコミュニケーションの促進やデータの管理方法の見直しなどが効果的です。

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