#コラム

ITIL V3とは?5つの構成要素やITIL V2との違い

  • ITIL V3は、ITサービスマネジメントを提供する上で重要なフレームワークです。ただし、ITビジネス事業に携わっていても、ITIL V3の具体的な内容や以前のバージョンであるITIL V2との違いなどがいまひとつ分からない人もいるかもしれません。

    この記事を読めば、ITITL V3について押さえておくべき基礎知識が身に付きます。
    ITIL V3のフレームワークを身につけるために、ぜひ参考にしてください。

  • ITIL V3とは?

    ITILとは、Information Technology Infrastructure Libraryの略語です。具体的には、ITサービスマネジメント(ITSM)で採用可能なベストプラクティスとプロセスで構成されるフレームワークで、書籍群としてまとめられています。

    ITIL V3は、ITサービスの品質を向上させ、限られた予算や人的資源の中でも、システム運用やサービス提供業務の効率化を実現することを目的としています。

  • ITIL V3の5つの構成要素

    ITIL V3は次の5つの要素で構成されています。「サービスストラテジ」「サービスオペレーション」「サービスデザイン」「継続的サービス改善」「サービスシジョン」という5つのプロセスです。

    これら5つのプロセスが、ITIL V3における重要な考え方である「サービスライフサイクル」を構成しています。 人間が誕生から死まで幼児期、思春期、老年期などの段階を経てるように、ITサービスにも誕生から終焉までいくつかの段階に分かれた流れが存在します。その一連の流れがサービスライフサイクルです。

    各プロセスが具体的にどのような内容なのか、詳しく見ていきましょう。

    ITIL V3の構成要素1.サービスストラテジ

    ITIL V3の1番目の構成要素は、「サービスストラテジ(サービス戦略)」です。サービスストラテジは、顧客に提供するITサービスの全体方針を確認し、戦略を策定する上で必要なプロセスです。

    サービスストラテジでは、どのようにして顧客に提供するITサービスを設計、開発、実装していくべきかを、戦略としてまとめます。ITサービスのマネジメントを行うために、ビジネスの目的などを明確にし、具体的にはどの領域で、どのような内容のサービスを実現していくかなどの検討が必要です。

    サービスストラテジで検討すべき項目には、財務管理や需要管理、事業関係管理、サービスポートフォリオ管理などが含まれます。

    ITIL V3の構成要素2.サービスオペレーション

    ITIL V3の2番目の構成要素は、「サービスオペレーション(サービスの運用)」で、運営管理に関わるプロセスです。サービスオペレーションは、顧客の要件を確実に満たす上で不可欠なフェーズで、ITサービスを提供するための運営方法として体系化されました。

    サービスオペレーションは、顧客にコストやリスクなどを負わせる状況を回避し、価値あるITサービスを提供するために実施されます。そのために、日常的な運用タスクや監視インフラストラクチャ、関連サービスの円滑なフローの確保が必要です。

    サービスオペレーションには、イベント管理やインシデント管理、問題管理、要求実現、アプリケーション管理の5つのプロセスが含まれています。

    ITIL V3の構成要素3.サービスデザイン

    ITIL V3の3番目の構成要素は「サービスデザイン」です。サービスデザインは、提供するITサービスや、ITサービスをマネジメントするための仕組みに関して、業務設計を行うプロセスとなっています。

    サービスデザインでは、サービスストラテジに基づいて決定された新たなITサービスを、設計手法に基づいて安全かつ効果的に導入するための設計が行われます。また、提供されるITサービスに関して、品質や予算などのレベルに基づき、顧客との間で同意形成が必要です。

    サービスデザインで検討すべき項目には、サービスカタログ管理やキャパシティ管理、サービスレベル管理、ITサービス継続性管理、可用性管理、情報セキュリティ管理、サプライヤー管理が含まれます。

    ITIL V3の構成要素4.継続的サービス改善

    ITIL V3の4番目の構成要素は「継続的サービス改善」です。このプロセスでは、顧客やユーザーに向けてITサービスを安定的に提供し続けるために、問題の特定や測定、報告、改善を行いながら解決にあたります。

    継続的サービス改善が行われるのは、実際にITサービスを提供するサービスオペレーションの段階だけに限りません。ITIL V3を構成する他のプロセスでも、進行中に改善すべき何らかの問題が特定されるごとに対応が行われます。つまり、ITIL V3のサービスライフサイクル全体を通じて一貫して実行されるのが、継続的サービス改善です。

    ITIL V3の構成要素5.サービストランジション

    ITIL V3の5番目の構成要素は、ITサービスの開発終了後、本番環境に移行する際の運営準備を行うための「サービストランジション」です。このプロセスでは、顧客やステークホルダーから上ってくる要件に基づき、設計したITサービスを運用するための手法を整理します。

    サービストランジションは、組織の変更が展開された場合でも、サービスの現状が損なわれることなく維持されることを目的としています。サービストランジジションのプロセスは、移行の計画立案とサポート、変更管理、サービス資産と構成管理、リリースと展開管理、サービスの妥当性確認とテスト、評価、ナレッジ管理の7つです。

  • ITIL V3とITIL V2の違い

    ITIL V3は、ITIL V2のアップデートとして2007年にリリースされたバージョンです。費用対効果および効果的なサービス提供を通じた顧客満足度の向上を目的とし、現代のビジネス要件により適合させるための戦略的要素が含まれています。

    ここでは、さまざまな観点からITIL V3とITIL V2の違いについて解説します。

    ITIL V2とは?

    ITIL V2は、初代ITILの40冊以上にもなる書籍群から整理・結合し、7冊の書籍に分割されたものです。
    7冊の書籍は以下で構成されており、プロセスアプローチとベストプラクティスをもたらす効果が期待できます。

    ・サービスサポート
    ・サービスデリバリ
    ・サービスマネジメント導入計画立案
    ・ビジネスの観点
    ・アプリケーション管理
    ・ICTインフラストラクチャー管理
    ・セキュリティ管理

    ITIL V3とITIL V2を比較!

    ITIL V3は、現代のビジネス環境に合わせて、より包括的なITサービス管理を提供するために、旧バージョンであるITIL V2からアップグレードされています。ただし、内容が全く異なるわけではなく、考え方は共通しています。

    では、具体的にどのような違いがあるのが、比較してみていきましょう。

    ITIL V2 ITIL V3
    7つのコア書籍(サービスマネジメント導入計画立案、サービスサポート、サービスデリバリ、アプリケーション管理、ICTインフラストラクチャ管理、セキュリティ管理、ビジネス観点) 5つのコア書籍(サービス戦略、サービス設計、サービス移行、サービス運用、継続的なサービス改善)
    プロセスアプローチとベストプラクティスを重視 V2の特徴を踏襲しつつ、サービスライフサイクルを重視
    効率的で費用対効果に優れたプロセス 効率性と費用対効果の高さ、サービスアプローチを戦略的に重視
  • ITIL V3における5つの認定レベル

    ITIL V3の習得に役立つITIL V3認定資格試験は、イギリスのAXCELOS社が管理・提供しています。ITIL V3認定制度では、ファンデーション、プラクティショナー、インターメディエイト、エキスパート、そしてマスターの5つの認定レベルが設けられています。

    ここでは、各認定レベルの概要を見ていきましょう。

    ITIL V3ファンデーションレベル

    ITIL V3ファンデーションレベルは、ITSMの認定資格を得たい人が最初に目指す初心者向けの資格です。学習を通じてITSMの基礎が身に付きます。

    取得にはサービスライフサイクルを中心に、ITILの用語や構造、概念などの基本的な知識が必要です。合格すると、2単位が付与されます。

    ITSMの上位レベルの資格取得を目指すためには、このファンデーションレベルの資格取得が欠かせません。

    ITIL V3プラクティショナーレベル

    ITIL V3プラクティショナーレベルは、ファンデーションレベルとインターミディエイトレベルの中間に位置付けられる、ITIL V3認定試験の第2段階です。

    個人が組織内でITIL V3を採用して適応させ、維持するためのスキルを有していると認定する資格です。プラクティショナーレベルに合格すると、3単位が付与されます。

    ITIL V3インターミディエイトレベル

    ITLV V3インターミディエイトレベルは、ITIL V3に関してより専門的な知識を習得していることを示す資格です。ベストプラクティス、プロセス、役割について、各モジュールを習得していると認定します。

    この資格認定は、ケイパビリティ・モジュールとライフサイクル・モジュールの2つで構成されています。ケイパビリディ・モジュールは、プロセスや役割に関する知識の習得を目指す人向け、ライフサイクル・モジュールは、サービスライフサイクルに関わるベストプラクティスの知識の習得を目指す人向けです。

    ITIL V3エキスパートレベル

    ITIL V3エキスパートレベルは、ITIL V3認定試験の第4段階です。ベストプラクティスのスキルを保有し、さらにITIL V3でのプロセス全体に対する深い知識を持っていると認定されます。

    エキスパートレベルの受験資格は、ファンデーションレベルの2単位の他、プラクティショナーレベル(3単位)およびインターミディエイトレベルの各モジュールから15単位の合計17単位を取得した後、MACL(Managing Across the Lifecycle)認定コースを修了することで得られます。

    さらにITIL V3エキスパートレベル試験に合格し、合計22単位以上を獲得して初めて、ITIL V3エキスパートレベルの認定資格が取得可能です。

    ITIL V3マスターレベル

    ITIL V3マスターレベルは、ITLV V3認定資格の最高峰です。ITIL V3に関するベストプラクティスのスキルを保有し、さらにITIL V3でのプロセス全体に対する深い知識を有していることを認定する資格になっています。

    ITIL V3マスターレベルを受験するには、エキスパート資格を保有し、最低でも5年間にわたりITMS業務に従事しているのが条件です。その上で、AXELOS社に経歴書を提出し、面接を通過すれば、ITIL V3マスターレベルの資格が付与されます。

  • 目的に合わせて学習するITILを選ぼう

    ITIL V3は、サービスマネジメント(ITSM)で採用可能なベストプラクティスとプロセスで構成されるフレームワークで、5つの構成要素で成り立っています。

    IITIL V3を効率よく学ぶ上で効果的なのが、ITIL V3の認定資格取得です。ファンデーションレベルをはじめとして5つの認定レベルが設けられています。

    それぞれ目指すレベルや専門性が異なるため、受験する際は、目的に合わせて選ぶのが肝心です。

    また、ITIL V3よりもさらに新たなフレームワークとして、ITIL 4もリリースされました。ITIL 4については別記事にて解説しているので、あわせてお読みください。