#コラム

サービスオペレーションの概要と重要性

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  • サービスライフサイクル

    ITサービスデスクを考える上で、大枠であるITILが重要になってきます。これは英国でまとめられた過去の成功事例をまとめた書籍群であり、この内容に準拠していることで、高品質であることの証明となります。また事実効果的な仕組みとなっており、IT運用管理をおこなうにあたって効率化を図るための魅力的なシステムになります。そしてこのITILの基幹にある考え方こそが、サービスライフサイクルです。

    サービスライフサイクルは、主に戦略面を表すサービスストラテジ、設計プロセスであるサービスデザイン、移行のサービストランジション、運用のサービスオペレーション、そして継続的なサービスの改善にあたるコンティニュアルサービスインプルーブメントの5つから成り立っています。これらそれぞれを総合的に取り入れることにより、それこそITサービスのレベルを世界基準にまで押し上げることも可能となるのです。

    ITILの特長は、これら5項目がただの方針ではなく、過去の前例から成り立っているということです。つまり、特別な要素が伴わない限り、この考えを基幹に据えることにより、円滑なシステム維持が大いに期待できるというわけです。

    ITは、決して安定的な存在でもありません。日々、あらゆるトラブルに対応しながら運用し続けるということが重要になってきます。その点、軸になる部分があるのとないのとでは大違いなのです。特に世界基準ともいわれるITILに準拠するともなると、安定性は大きく増すことでしょう。

  • サービスデスクの構造

    ITサービスデスクの構造は、一概に語りきれないのが実際のところです。多様な面を担う部門であり、また企業の形態それぞれで柔軟に構造を変化させることも重要となってきます。基本はユーザからの問い合わせに対する窓口ではありますが、社内のアラート管理や情報伝達、そしてインシデントのコントロールまで幅広い分野を担います。ですが、これらを自社の部署ではなくサービスデスクに任せることには、大きなメリットが伴います。

    たとえば、サービスデスクという窓口が単一であるという点です。問い合わせ内容ごとに窓口が分かれている場合、ユーザは混乱してしまいます。また会社側としても、内容の管理が難しくなってしまい、対応や管理しきれなくなってしまいます。

    ですが、専門のサービスデスクを構えておければ、単一窓口ですべてを処理し、速やかに社内各部署へとエスカレーションしてもらえます。窓口が複数あり、問題によってたらいまわしにされる現象は、クレーム対象となりやすいです。単一だからこそのメリットは、とても大きいといえるでしょう。

    また、生じた問題を速やかに振り分けられるインシデント対応の基点という意味でも、単一窓口のサポートデスクは効果的です。前述の通り、生じる問題をいかに効率よく対処するかでITサービスのレベルが問われます。この点も、窓口が複数ある場合は混雑してしまいます。

    社内における問題のたらいまわしが起こる、同じ問題に重複して当たるケースが生じる、さらには同一のユーザに重複した連絡をしてしまうといったクレーム必至の状況すら起こりかねません。単一窓口からの振り分けであれば、ひとつの部門ですべて管理できるため、そうしたトラブルも起こりにくいです。つまりサービスデスクは、ユーザと社内の両方における混乱を回避できる、円滑性に優れたシステムといえるのです。

  • IT運用管理で行う項目

    ITサービス提供の中でも、特に重要といえるのが運用管理の面です。これは、前述に挙げたサービスライフサイクルでいうところの、サービスオペレーションこと運用項目が該当します。主な項目としては、イベント管理・インシデント管理・要求実現・問題管理・アクセス管理・サービスデスク・技術管理・IT運用管理・アプリケーション管理となっており、主題のひとつであるサービスデスクも含まれています。

    運用と名がついていますが、IT分野においてはこれこそが商品提供に該当します。つまり、ユーザと密な関係を持つ部門に当たるため、特に疎かにできない点といえます。もしIT運用管理が不十分であれば、サービスそのものの良し悪しにも影響するため、ユーザ満足度、さらには会社への印象すら左右しかねません。

    ではいったい、IT運用管理においてはどのような点を意識すれば良いのでしょうか。ITサービスは、基本的に形のないネットワーク通信であることがほとんどです。そうなると、ある意味目標が設定しにくくなってしまいます。その点、分かりやすいのが、契約時におけるユーザとの合意内容です。

    契約書面上の取り決めやSLAに則り、提供水準の範疇をいかに維持できるかで、サービスの品質が保たれます。そうした理由から、合意書面はあらゆる状況も想定して、あまり範囲を広げ過ぎないことが重要になってきます。そもそも不満の生じにくいシステムを構築し、さらに万が一の場合でもITサービスデスクが速やかに対応できる、そんな円滑さこそが、ユーザの満足度を創出します。